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【演劇小道具工房/第13回】 小道具部ありがちな失敗エピソード② ~乾燥~|対策方法もご紹介!

こんにちは、シンディこと大向しんじです。ここ『演劇小道具工房』ではお芝居で使える小道具のつくり方やこれまでに作ったアイテムの解説、それらに纏わるコラムなどをご紹介します。

今回は 「小道具部ありがちな失敗エピソード・その②~乾燥~」をお届けです。

ちなみにその①では運搬について扱っていますので、よろしければこちらも併せてご覧ください!

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小道具部ありがちな失敗 ~乾燥~

悩める小道具作家の皆さんこんにちは!

塗料、接着剤、張り子、粘土やパテなどなど……。制作過程で必要になる『乾燥』という工程。

乾燥させている間は別の作業を進めたり、作業時間の区切りにしたりと進行スケジュールの目安にもなりますよね。

塗料や接着剤や粘土といった大抵の既製素材は、パッケージや説明書に乾燥時間の目安が記載されています。

同じ種類のアイテムでも物によって異なる場合があるので使用前に必ず参照しましょう。特に粘土系は「30分」の物から「2週間」の物まであったりするので確認はとっても大事です。(時間単位の差よ……)

だけど、記載の乾燥時間を守っていたのにこんなことになってしまう経験、ありませんか……?

日本の四季!!!!

巡る季節を楽しむならばこの上なく素晴らしい風情となるこの自然現象。しかし小道具作家にとっては制作時間に影響する重要なファクターでもあります。

塗装に適した季節 なさすぎ問題

「夏の湿気」「冬の低温」。これらは本当に厄介です。夏と冬ってもう1年の半分以上じゃないですか……。

それぞれ逆の要素である「夏の高温」「冬の乾燥」という特性も持っているので「むしろ乾燥させやすいのでは? 」とも思えるのですが、気をつけろそれは罠だ。

確かに夏も冬も「乾燥作業に適している(はずの)条件」を備えていますが、適さない条件も同時に備えているのです……! どちらが顔を出すかはその時の環境次第……。

ちなみに大抵の水性塗料は乾燥時間の目安が夏季と冬季に分けて記載されており、冬の方が長めの時間であることが多いです。なので時間的には夏の方が乾きやすいと言えます。が、湿気が厄介なのは本当です。

実際過去の座組で「夏より冬の塗装の方が乾燥が早い」と言い張る人に会ったことがあります。その時は「時間で言ったら夏の方が速いんじゃないかなぁ」と思いましたが、湿度の厄介さも込みで仰っていたのだとすれば納得はできます。

ちなみに1年のうちで最もどうしようもなく塗装に適さないのは梅雨です。異論がある人がいたらむしろ論破して欲しい……。そのノウハウを教えて欲しい……。そのくらい適しません。

降りしきる雨、雨、雨……。特にスプレーを使いたい作業だったりすると、連日の雨予報に絶望すら感じます。

スプレー塗料は雨降りなど湿度の高い日だとムラになったり、仕上がりの色が白っぽくなってしまうんです。プラモデルやドールカスタムをする人には身近な現象かもしれませんね。

空気中の水分の影響を受けるものなので透明ニスなど色がついてない塗料でも起こります。梅雨に限らず雨の日はスプレー系の作業を避けた方がいいでしょう。

またシンナーなどの有機溶剤を使っている塗料はたとえスプレーでなくても同じような現象が起こるのでこちらも注意です。有機溶剤の乾燥時に発生する気化熱で、梅雨の空気中の水分が結露してしまうんですね。有機溶剤のスプレー塗料だったりすると言わずもがな。

もうとにかく湿度が高いので、乾燥作業をする人にとって梅雨は大きな鬼門です。

夏と冬に加えて梅雨まで……ってもうそれ1年の大部分じゃない!?

と、嘆いてばかりもいられません。巡る季節と迫る納期。私たちはこの2つと上手く付き合っていかなければならないのです。

季節ごとの乾燥作業、どうする?

まず1番の対策として、乾燥時間には余裕を持ちましょう(戒め)。

特に張り子など、乾燥にかかる時間が読みにくい物は注意が必要です。

塗料や接着剤など商品の説明に時間の目安がある物でも、記載されている時間はあくまで目安なので環境要因で前後することは当然あります。余裕を持った計画が大切です(戒め)。

結局のところ「夏(冬)だから乾きやすい」なのか「夏(冬)だから乾きにくい」なのか。どちらが正しいのかと言えば……どっちの場合もあります。

これは個人的な経験則ですが、良条件をうまく残すポイントは通気性にある気がします。

僕は自宅の制作スペースで作ることも、その時々の稽古場で作る事もありますが、風通しがいいところは季節による悪影響を受けにくかったです。

逆に「うわ~ここにお洗濯物干したら永遠に乾かなさそう」みたいな稽古場の場合でも、空気の通りをよくするだけでだいぶよくなったりしますよ!

演劇は大きな声や音を出すので、稽古場が地下だったり窓が無かったりすることも儘ありますが、最近はそういったところでもサーキュレーターが設置されたり換気が励行されていところが多いです。ありがたく恩恵にあずかりましょう。(塗装などの作業に関してはルールが定められている稽古場も多いので、必ずその施設のルールを確認して作業しましょうね)

梅雨に関しては……どこかで腹を括りましょう。そもそも私たちは人間、相手は自然。雨が降ったからといって作業を止めて気ままに休んでいいのはハメハメハ大王の子供たちだけです。

時期を見越して計画を立て、雨のタイミングを避けられるならそれに越したことはありませんが、どうしたって梅雨の時期に制作しなければならないことも当然あります。どこかで折り合いをつけましょう。

「演劇の小道具」という点で有利な点を言えば、コスプレ小道具やアート作品と比べて精密さは必ずしも最重要でない場合が多いです。

クオリティや拘りを大事にしつつも、公演日やお稽古の進行を第一に考えて進めましょう。

乾燥作業の味方ツール!

そんなわけで頭を悩ませがちな乾燥作業ですが、道具を使うことで季節によるデメリットを軽減することができます。

相手は自然、私たちは人間。文明の利器は人間の力です。

サーキュレーター・扇風機

先ほども触れましたが、サーキュレーターや扇風機はあると無いとでは大きく異なります。風通し、大事です。

重さのある物は直接風を当ててもいいですが、直接風をあてずとも近くで空気の流れを作って、風通しを良くしてあげるだけでも乾燥ペースが安定しますよ!

直接風を当てる場合は「飛んでいかない」、「ホコリがつかない」、「塗装の被膜が風圧の影響を受けない」などの点に注意しましょう。

ドライヤー

ドライヤーは集中的な風に温度が加わるのでより効果的に乾燥を補助できます。ただし、避けた方がいい場合もあるので注意が必要です。

まず、有機系の塗料や接着剤など、熱で引火する可能性があるものには使わないこと。パッケージや説明書に「火気」「引火」などの注意書きがないかチェックして下さいね。

あとは紙ねんどなど粘土系の造形物の乾燥にもお勧めしません。粘土系の素材は自然乾燥を想定されているので、ドライヤーによって短時間で水分が気化してしまうと、素材が乾燥についていけずにひび割れてしまうことがあるためです。

あとは手が塞がるというのも使用が限定されるポイントと言えます。ただ水性絵の具の乾燥など、条件に合う時はスピードアップにとても有効なので、いち手段として頭にあると便利です。火気にはくれぐれも注意して下さいね。

まとめ

・乾燥時間は目安があっても季節や環境によって伸びることがあるよ!

・温度の低さと湿度の高さは乾燥の敵! 季節的には夏でも冬でも好条件と悪条件どちらもあるので、その時の環境に合わせて換気など調整しよう。

・梅雨時は乾燥作業の大敵! 出来る限り避けよう! でも仕方ない時は仕方ないという踏ん切りもだいじ!

・場合によっては文明の利器を取り入れて! 特にサーキュレーターで空気の流れをよくすると乾燥が安定しやすいよ。

ちなみにこの記事を執筆している今はちょうど。窓を開けると風が爽やかで塗装にちょうど良さそうなお天気です。

粘土造形や塗装など乾燥が必要になる作業をするなら今がピッタリ! 計画がある人はぜひボーナスタイムのうちに作品作りしちゃいましょう!

そしてもしあなたが「梅雨や猛暑や寒波の季節に乾燥作業がはかどらず、悩んだ末にここに辿り着いた悩める小道具作家さん」なら……どうかこの記事が参考になりますように!

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執筆:大向しんじ
(c)Rrose Sélavy

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