ものづくりの教科書 衣装

【衣装の創り方/第6回】舞台衣装でアクセサリーどう使う?・装飾小物編

【ものづくりの教科書】<衣装の創り方>では、楽劇座(がくげきざ)のテクノPOPミュージカル『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』(以下、ルーシー・フラワーズ)の創作過程を通して、衣装がどのようにして創られているのかの裏側をご紹介していきます。

記事を執筆するのは、アリスママ役を演じたシンディこと大向しんじ。華やかな衣装が出来上がるまで、いったいどんな過程があったのでしょうか?

第6回は「装飾小物編」をお届けします。

第5回をCHECK

【衣装の創り方/第5回】衣装も複数の役を経験?・続ベースドレス編

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装飾 ~そもそもアクセサリーって必要? ~

さて、今回は装飾品編です。ドレスとは別に身につけるアクセサリーや小物類ですね。

衣装が完成した後でも、本番までのチェックによって「ちょっとさみしい」「ゴチャゴチャして見える」「〇〇(他キャスト)と被って見える」など調整点がでてくる場合があります。

そんな時、アクセサリーをひとつ変えるだけで解決しちゃうことが意外とあるのです。装飾品というのはただカワイイ・綺麗・カッコいいだけじゃなく、とっても便利な要素なんです。

手袋 ~変形グローブのススメ~

そんなわけで、今回アクセサリーに関してはフレキシブルな心構えで進めるつもりでした。特にオンライン公演だとカメラ越しになるので、肉眼で見た状態と印象が変わることも想定されますしね。

しかしながら、実はデザインを描いた時点で「できればこれは欲しい! 」と思っていたアイテムがあるのです。

それはグローブ(手袋)!

ルーシー・フラワーズ衣装解説の方でも言及しましたが、男性が女性に扮する時に(厳密にはアリスママは女性ではないのですが、この場合なんというか、意図として)グローブは非常に有効なアイテムなのです。

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【衣装解説】『ルーシー・フラワーズ』のワードローブ <第4回 アリスママ>②

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加えてアリスママのグローブには理想のイメージがありました。指先が翼を彷彿とさせるような白いレースで……ちょっとクセのある変形デザインで……。

でもそう都合よく理想のデザインが短期間で見つかるとは限りません。結局、既製品の改造で好みのデザインの物を作ることにしました!

前々回の記事でもご紹介しましたが、既製品のカスタムはかくも制作のハードルを下げるのです……。「レディメイド改造編」ふたたび! ですね。

デザインはいろいろ形の候補を考えましたが、最終的にこの形になりました。

・手を広げた時の指の形が翼っぽい
・腕のラインに沿って手のひらが削られるので、骨感・肉感が軽減される(腕から指先が直線的に見える)
・↑の変形要素がアリスママのちょっとクセのある感じに似合う

コルセット同様、こだわりポイントをおさえたお気に入り仕様です!

ついでに制電性の糸(静電気の発生を抑える手芸糸)を人刺し指の腹部分に刺繍してスマホの操作も可能にしています。地味に便利!

右手の人差し指と中指の腹にポイントで刺繍。

「変形グローブが欲しいけど理想のデザインが無い! 」「ファッションアイテムはひとクセあるデザインが好き」「手袋が壊れちゃったけどお気に入りだから改造して使いたい」なんて方にも、手縫いオンリーで作れるのでおすすめです!

袖飾 ~気持は天使の翼のように~

また、合わせてこんなのも作りました。

レースのお袖飾りです。幅広のレースにゴムを通した簡単なものですが、グローブと組み合わせたらゴージャスになって面白いんじゃないかと思ったのです。

グローブとの組み合わせの案はいくつかイメージしていましたが、結果的にこちらはグローブではなくドレスの袖の1番下に装着することにしました。このページ一番上の衣装画像でもその状態になっていますが、袖の白いレースはくっついているのではなく実はピンクのフリルの下で腕にはめているだけなんです。

グローブとの組み合わせだと腕から指先の直線的なラインが中途半端になってしまっていまいち効果的でなかったため。むしろ袖としてつけた方が「袖がゴージャスになる」「ドレスと白レースの手袋との間に連続性が生まれる」など、総合的にバランスが良くなりました。

フレキシブルに使えるアクセサリーがいかに便利か、これだけでもちょっとわかりますね。

首飾 ~マーメイドからミストレスまで~

また、首から胸が大きく開いているので首飾りはマストです! 手持ちのネックレスを色々合わせてみましたが採用されたのはこちら。

実はこれも過去のルーシー・フラワーズシリーズ作品内で使用したアイテム。人魚のヴィクトリア=セイレーン=アンデルセン(通称ヴィッキー)を演じたとき、彼女に合わせて作った物でした。

ヴィッキーの時にはパールの印象がマーメイドらしさを引き立ててくれていましたが、アリスママでは白のレースが手袋と合わせて全体のを上品に整えてくれています。

奇しくも「オーダーメイド小物編 & 過去の衣装リターンズ編」ふたたび!ですね!

さて、今回は思いがけずこれまでの総集編のような内容になりました。次回はいよいよアリスママの一番印象的なポイント、胸や頭から溢れるバラの装飾を作っていきます。 総仕上げにして一番大切な部分、どうぞご期待ください!

第7回をCHECK

【衣装の創り方/第7回】飾りをつける前にXXXを考える!・デコレーション前編

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執筆:大向しんじ
(c)Rrose Sélavy

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