Stage ものづくりの教科書 舞台・演劇

【演劇の創り方/第3回】セリフの覚え方<前編>

【ものづくりの教科書】<演劇の創り方>では、楽劇座(がくげきざ)のテクノPOPミュージカル『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』(以下、ルーシー・フラワーズ)の創作過程を通して、演劇やミュージカルがどのようにして創られているのかをご紹介していきます。

第3回は「セリフの覚え方<前編>」(ルー役:五條なつき)をお届けします。

第1回はこちら【演劇の創り方/第1回】『ルーシー・フラワーズ』誕生の経緯とその劇作術について<前編>

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役者目線での「台詞の覚え方」

楽劇座の舞台『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』創作の過程を通して、演劇をどう創っているのかお伝えしている連載ですが……今日は出演者の視点から、「セリフってどうやって覚えているの?」という内容をお伝えしたいと思います!

1.話の全体像を把握する

私が『ルーシー・フラワーズ』で演じているルー役は、特にセリフが多い役です。

早口なこともあり、耳で聞いているとあっという間に思えるのですが、実はA4用紙に1〜2ページ分ぐらいの分量のセリフだったり…笑

そんなわけで、台本を頂くと長〜い文字列が目に入り、「あぁ、大量のセリフを覚えなければ!!!」と焦ってしまうのですが、まずは落ち着くことからスタート。

いったん自分の役は忘れて台本全体に目を通し、どんな物語なのかを把握します。

私はこれを2〜3回(複雑な物語の時はもっと!)くり返すことが多いです。

・ストーリーとシーン
・自分の役がどんな人物なのか
・自分の役がストーリーの中でどんな役割を担っているのか

まずはこの3点を理解しておくと、自分のセリフの意図がつかめるのでぐっと覚えやすくなるのです。

2.相手のセリフも見る

演劇を始めたばかりの頃は、自分のセリフにマーカーをひいてひたすら覚える……というやり方だったのですが、慣れてくると自分のセリフだけでなく相手のセリフも同時に覚えた方がラクだということに気がつきました。

なぜなら、たいていの場合、自分のセリフの「前のセリフ」は自分のセリフのきっかけになっているから。

自分のセリフ以外の部分には、

・なぜ自分がそのセリフを言うのか?
・どんなふうに言えばいいのか?

を知るためのヒントが満載なので、セリフの言い方はもちろん、セリフを思い出すきっかけにもなります。

また、相手のセリフをなんとなく覚えておくと、万が一相手がセリフを忘れたり飛ばしたりした時にカバーできるというメリットも。

相手のセリフを正確に覚える必要はありませんが“大体こんな内容“と理解しておくことはメリットしかありません。

3.動きながら覚える

あとはひたすら覚えていきます。書いて覚えたり、録音して覚えたりなど覚え方は人それぞれですが、私の場合はとにかく口を動かしながら覚えて「無意識でもセリフが出てくる」状態にしていきます。

「あれ、なんでこのセリフ言ってるんだっけ?」と思ったら、また全体の流れやシーン、自分の役割を確認しながら繰り返し覚えていきます。

そして最大のポイントは「体を動かしながら覚えること」。もちろん、後から演出がついて動きが変更になることもありますが、まずは自分で「このセリフはこんな動きで言おう」と考えて、動きとセリフを連動させながら覚えます。

初心者の頃によくあったのが「家ではセリフが言えたのに、お稽古で動きながらセリフを言うと、セリフが出てこない!」と言うこと。

「覚えたはずなのに……!!」と悔しい思いをしていたのですが、今振り返ってみれば、当時は体を動かさず、テスト勉強のように座りながらセリフだけをひたすら暗記しようとしていたんですよね。

動きとセリフは連動しているので、頭だけでセリフを覚えていた場合、動きが入るとパニックになってセリフが出てこなくなります。

「まずはセリフを覚えてから動こう」と思う気持ちもわかるのですが、経験上、最初から動きと一緒にセリフを覚えた方が早く覚えられるし、セリフを忘れにくいです。(しかも、後から動きの変更があっても対応しやすいです。)

セリフを覚えていないうちは台本を持ちながらでも構わないので、とにかく動きながら覚えてみてください!

<後編>に続く

第1回はこちら【演劇の創り方/第1回】『ルーシー・フラワーズ』誕生の経緯とその劇作術について<前編>

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執筆:五條なつき
(c)Rrose Sélavy