Stage ものづくりの教科書 舞台・演劇

【演劇の創り方/第4回】セリフの覚え方<後編>

【ものづくりの教科書】<演劇の創り方>では、楽劇座(がくげきざ)のテクノPOPミュージカル『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』(以下、ルーシー・フラワーズ)の創作過程を通して、演劇やミュージカルがどのようにして創られているのかをご紹介していきます。

第4回は「セリフの覚え方<後編>」(ルー役:五條なつき)をお届けします。

前編はこちら【演劇の創り方/第3回】セリフの覚え方<前編>

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4.頭の中で本番を再現する

動きもセリフもある程度固まってきたら、台本を全く見ないでオープニングからエンディングまでを頭の中で再現してみます。相手の大体のセリフも含めて、つっかえずに再現できれば、ようやく「セリフを覚えた!」と言える目安だと思っています。

なので稽古中は、移動中などの時間がある時にはず〜っと頭の中で舞台を再現。もしつっかえたり、「あれ、この後のシーンどうなるんだっけ?」と思ったら、そこは覚えていない箇所なので台本を見返して確認する……ということをひたすらくり返します。

5.締切を設定する

また、大切なのが「締切」があること。舞台だと「本番」があるので「それまでにセリフを覚えなきゃ!」となるのですが……当然ながら、本番よりも前にお稽古がある=本番よりも前にセリフを全て覚えていなくてはいけません。

なので、意識して「○日の稽古までにセリフを覚える!」と自分で締切を設定して自分を追い込むようにしています。

人間というのは不思議なもので、逃げられない締切があると意外とできるのですが、締切がなくて「いつまででもいいよ〜」となった途端にできなくなるのです。なまけものです。

もし本番がない(レッスンや自主練)の場合でも、本番があると思って覚えないと、よほどの意志の強さがない限り覚えられません(実体験)。

なので、もし自主練で覚える場合は友達や家族に「この日までにセリフを覚えるから、観てね!!」と宣言して無理やりにでも本番と同じ他人に観てもらう状況をつくっておくのも一つの方法です。

6.できる!と思い込む

以上が、私のセリフ覚えのルーティーンです。

中には「1度読んだらセリフを覚えちゃう」なんて天才型の役者さんもいらっしゃるのですが、残念ながら私はそうではなく……いつも地道に覚えています。

でも、1番大切なのは「私にはできる!」と思い込むことでしょうか。

あまりのセリフ量の多さに「覚えるの、無理かも……」と弱気になってしまうこともあります。でも、やっぱり人間というのは不思議なもので「無理」だと思えばできないし、「できる!」と思えばできてしまうところがあるのです。

まとめ

と言うことで、私のセリフ覚えのコツをまとめるとこんな感じ。

・まず物語全体を把握する
・相手のセリフもしっかり読む
・動きと連動させて覚える
・頭の中で何度も再現する
・締切を設定する
・「できる!」と思い込む

あとは「覚えられなかったらどうしよう」という不安に打ち勝つために、「楽しみながら覚える」ことも心がけています。

ある意味で役者として1番大変で地味で苦しいセリフ覚え。ですがプロならセリフは覚えて当たり前。むしろ、作品創りのスタートラインにすぎません。

かと言ってセリフを覚えることにプレッシャーを感じすぎるとネガティブになるので、反対に「このセリフ、どう言ったら面白いかな?」「こんな動きしてみたらいいかも」「この長台詞を覚えられる私、すごいな」と、クリエイティブな部分、遊びの部分にスポットを当てます。

そうすると、一歩間違えると単なる「作業」になってしまいがちなセリフ覚えが一気に「表現を探す」行為になるのです。

第1回はこちら【演劇の創り方/第1回】『ルーシー・フラワーズ』誕生の経緯とその劇作術について<前編>

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執筆:五條なつき
(c)Rrose Sélavy

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