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【音楽レビュー/昭和アイドル歌謡編】伊藤つかさ2nd『さよならこんにちは』〜80年代YMO系アイドルテクノ歌謡の金字塔〜

YMO系アイドルテクノ歌謡の金字塔

1982年にリリースされた本アルバムは、坂本龍一、高橋幸宏、矢野顕子、大村憲司、加藤和彦、大貫妙子、清水信之、竹内まりや、後藤次利といった作・編曲陣の顔ぶれからも推測されるように、そのサウンド面においてもYMOファミリー的な傾向、ないしは“色合い”を持つアルバムだ。

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音的にはProphet-5の見本市といった印象のアルバムで、中期〜後期のYMO(ないしはメンバーのソロアルバム)の系譜にあるような感じだが、その世界観はあくまでも“純粋なアイドル”の表象となっている点が注目に値する。

通常、この時代の“この手のアルバム”の場合、アイドルのキャラクターよりも流行のサウンドへの志向が勝ってしまい、“アイドル”というカテゴリーの商品からすると“痛々しい”ものになってしまうケースが多くありがちだったりしたものだが、このアルバムに関して言えば、1982年の時点で既に“時代遅れ感あふれんばかりのアイドル的カ・ワ・ユ・サ”を、“恥じらい”の態で恥ずかしげもなく体現されていた“伊藤つかさ”というタレントイメージを紛れもなく表象しているという点で、作家陣の個性が強すぎることによるある意味“ごった煮”感のある楽曲たちを、そのコンセプトにおいて見事なまでに“伊藤つかさ”という一つの世界において結びつけていると言って良いだろう。

そうした意味で、アイドルテクノ歌謡の金字塔と言っても過言ではない。

要するに、よくありがちな残念なケースとして、詩・曲ともに結構ハードなロック系楽曲を歌わされるアイドル特有の“無理している感”や、ロボットや宇宙人をイメージしたかのように敢えて無表情で歌わされるテクノ歌謡に見られがちな“痛々しさ”といったものがあるが、本アルバムにはそういった“歪み”がないのだ。厳密に言えば、後藤次利氏の編曲による11曲目「ともだちへ」の、まるで追いかけっこ(筆者にはアニメ「うる星やつら」の劇伴を連想させる)でもしているかの様な“イントロ部分”に関しては「ちょっと無理があるかなあ」と思わないでもないが(笑)

収録曲レビュー

さて、収録曲を見ていこう。

伊藤つかさ『さよならこんにちは』

1.さよなら こんにちは
作詞・作曲:大貫妙子/編曲:清水信之

2.夢見るSeason
作詞・作曲:原由子/編曲:大村憲司

3.私 I Love You
作詞・作曲:矢野顕子/編曲:後藤次利

4.パジャマ・パーティー
作詞・作曲:竹内まりや/編曲:清水信之

5.恋はルンルン
作詞:仲畑貴志/作曲・編曲:坂本龍一

6.野外コンサート
作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:清水信之

7.夕暮れ物語
作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:清水信之

8.彼
作詞・作曲:伊藤つかさ/編曲:清水信之

9.春風にのせて
作詞・作曲:大貫妙子/編曲:大村憲司

10.風になって
作詞:高橋信之/作曲・編曲:高橋幸宏

11.ともだちへ
作詞・作曲:矢野顕子/編曲:後藤次利


1.さよならこんにちは

1曲目のアルバムタイトル曲「さよならこんにちは」は大貫妙子の作詞・作曲、編曲が清水信之。ある意味、この時代のゴールデンコンビの手による楽曲。

大貫妙子節全開の清潔感のある情感たっぷりの楽曲に、これまたアイドルソングにおけるProphet-5(シンセサイザー史に燦然と輝くシーケンシャルサーキット社のアナログシンセサイザー )の使い方の見本みたいなアレンジ。

言うまでもなく、安定した仕上がり・・・オケはね(笑)

さて、つかさちゃんのお歌の方はどうかというと・・・ご存知の方には触れる必要すらないとは思いますが、リアルタイムでご存知ない世代の若者のために“一言”で説明させていただくと、“ド下手”ということになります。

でもね、先ほども触れた通り、“恥じらい”を恥ずかしげもなく体現する存在としての伊藤つかさにとって、この歌唱力は一つの武器とも考えられるわけです。

と言うか、音程に関してはそれほど悪くなかったりするのですよ実は。もっと酷いのが幾らでもいますから、そうした中ではむしろ“音程は良い方”と言えます。もしかしたら音感が良い方なのではないでしょうか?

この時代、今みたいに音程を一発で直してくれるようなプラグインなんて便利なものは存在しませんので、それを合わせて考えればなかなか健闘されているようにすら思えてきます。

まあ、なんと言いましょうか・・・全てファルセット、いや敢えて“裏声”と呼ばせてもらおう。そう、裏声で歌っている感じ?とでも表現すれば良いのでしょうか・・・まあ、そんな感じです。

そういったわけで、“ド下手イメージ”の歌唱力といったところでしょうかね。

それにしてもリバーブが凄すぎます。あり得ないレベルのリバーブが体験できます。それはもう、「“信じられないぐらい広いお風呂”にでも入りながらレコーディングしたのかしら?」などと疑いたくなるほどのレベルです。

このお風呂系リバーブ?はこの曲だけの話ではありません。全曲そうなっております。さぞ“のぼせた”ことでしょう。

といったわけで、以降、本アルバムに関する“歌唱”については一切触れませんのでご了承ください・・・どう考えても『おそ松くん』の六つ子の兄弟一人一人の顔について説明していくことが有益なこととは思えないのですよ。

ちなみに、“恥じらい”系の歌唱表現という意味では、後の菊池桃子の系譜、ないしは布石とも考えられるかもしれません。

2.夢見るSeason

シングルとして先行リリースされていた2曲目の「夢見るSeason」は、編曲を別バージョンにしてのアルバム収録。作詞・作曲がサザンオールスターズの原由子、編曲は大村憲司。

大村氏は言わずと知れた名ギタリストだが、アレンジャーとしては山下久美子の「赤道小町ドキッ」が有名。本アレンジも基本、同様の手法を用いたアレンジと言って良いだろう。「赤道小町ドキッ」では、歌入前の細野晴臣(「赤道小町ドキッ」作曲者)氏っぽいドラムスの“太鼓フレーズ”や、サビでのシンセサイザーによる合いの手フレーズなど、「もともと細野氏のデモテープにあったのかしら?」と思わせるような“細野っぽい感じ”が随所に散りばめられていたが、こちら(「夢見るSeason」)はよりベーシックかつシンプルなアレンジ。

とは言え、原由子を初期YMO風・・・より正確に言えば、シーナ&ロケッツ『真空パック』等に代表される様な、初期YMOファミリー系アルバムでも見受けられるようなポリフォニックシンセのコード弾き(音色も含めての話)・・・のアレンジで聴かせることにより、アルバム全体の雰囲気との調和をそれなりに見事に図っていると言えよう。また、それこそがあえて別バージョンの編曲を採用した意図でもあったのだろう。イントロのギターによるフレーズ&音色は、大村氏のソロアルバム『春がいっぱい』を思わせるものながらも“ちゃんとアイドル”している。

3.私 I Love You

3曲目「私 I Love You」は作詞・作曲が矢野顕子で、編曲は後藤次利。本アルバムの中では少し“大人びた”世界観。メロディ自体は随所に矢野顕子節なのだが、一見(一聴)そう思えないのはその歌唱力故だろうか? イントロのベル系音色&フレーズに、後のおニャン子クラブ以降、80年代後半〜90年代前半のアイドル歌謡を秋元康とのコンビで牽引する“流行作家・後藤次利”の姿を垣間見るような気がするのは私だけだろうか? と言うか、全体的には後の小高恵美のアレンジに繋がっていくものがあるように思われます。すなわち後の後藤次利を垣間見るかのような音作り。別の見方をすれば、正直、“つかさちゃんの歌唱”に負けず劣らず、せっかくの矢野顕子節(ないしは色)をあまり活かせていないアレンジとも言えるだろう。「本当の恋が〜」のあたりのベースさばき?はベーシスト後藤次利の面目躍如といった感じでしょうか。

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4.パジャマ・パーティー

4曲目「パジャマ・パーティー」は、クレジットを見るまでもなく作詞・作曲は竹内まりや(笑)そもそもイントロのコーラス・・・と言うか、もはや“歌唱”は竹内まりや自身によるもの。編曲は清水信之。Prophet-5が「実家に帰らせていただきます!」と言ったかどうかは知らないが、ストリングスのアレンジで聴かせるオールディーズ感あふれるアレンジ。

5.恋はルンルン

5曲目「恋はルンルン」は、そのあまりにも強烈なタイトル&間奏での“つかさちゃんのお話入り”のインパクトが強すぎる嫌いはあるが、それに負けず劣らず強烈な音世界を展開するのが作・編曲の坂本龍一。

この時期の坂本氏が使用するシンセサイザーの音色がProphet-5の見本市となるであろうことは予め(音を聴く以前から)予想できるものの、ここまでコード進行や構成に凝ったアイドル作品と言うか、“実験的な”アイドル作品も珍しいのではないだろうか・・・もしかすると、坂本龍一氏の手掛けたアレンジ(提供もの)史上、最も実験的なアレンジの一つなのではないだろうか? 個人的にはこの“やりすぎ感”が美味です。

やはり同時期に編曲を手掛けた「コンピューターおばあちゃん」とは、まるで姉妹曲といった趣すら漂わせる、まさにそうした傾向のアレンジ・・・もしかすると、若干、響きに“ある種の暗さ”を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは多用される付加和音の為せる技。「美しく濁らせる」とでも言いましょうか・・・各パートの扱いがポリフォニー的と言いますか、清水信之氏よりもさらに“針に穴を通す”感の強い音処理。

まあ、クラシックで言うところの作曲技法というのはこういったもので、坂本氏の場合はまさにこれ。一方、清水氏の場合はポップスをベースとした“耳の良さ”のようなものを感じる。お里(出身地)の違いというか・・・分かりやすく大袈裟(少し乱暴ではあるが・・・)に例えるなら、北海道と沖縄から同じく東京を目指した感じ?

6.野外コンサート

6曲目の「野外コンサート」は、個人的には一番ピントこない曲だったりするのだが、これは完全に趣味の問題。ただ、なんだか洞窟の中にお風呂場(温泉?)でも作ったらこんな感じの響きかなあと・・・まあ、そんなことを想像させるヴォーカルのリバーブ(笑)そこに壮大?な男性コーラスが入ってくるもんだからなんだかなあと。まるで“洞窟の中のお風呂に15歳の少女が1人で入浴しているところに、ラグビー部の野郎どもが団体で入ってくる”みたいな?

正直、もう少し歌のお上手(表現力のある)な方が歌っていればまた別の感想を持てたかもしれませんが・・・特に、フレーズの頭が突っこんでしまう箇所の“縦線のズレ”は気持ちの悪いものがあります。

この曲に限らずですが、この“足が出てしまう(一足先に)歌い方”こそ“伊藤つかさ”だったりもしますので、何周か回って?物真似をされる方がいらっしゃれば、そのように歌ってみると彼女に近づけると思います。参考までに(笑)

また、思わず“歌唱力”について語ってしまった・・・もう二度と語るまい!

さて、それはさておき、編曲を担当されている清水信之氏についつい期待してしまう“ならではの部分”もこの曲ではそれほど見出すことが出来ず・・・「ちょっと残念」と言った感じでしょうか。厳密に言えば、「いつの間にか〜」以降は清水氏“らしい”ヨーロピアンな和声(コード進行)が出てきたりもするのですが、全体的に“ならでは”が希薄な印象といった感じでしょうか。

実はこの曲、再生する度に飛ばしちゃうので、そもそもあまり聴いたことはいないのですが(笑)・・・まあ、今回聴き返してはみたものの、あまり“印象は変わらず”と言ったところでしょうか。

7.夕暮れ物語

7曲目の「夕暮れ物語」は伊藤つかさのセカンドシングルで、確か、TBS日曜8時の草刈正雄主演『鞍馬天狗』のいわゆる主題歌だかエンディング曲だったかと思います。曲調としてはエンディング曲向きといった感じがしないでもないですが・・・さて、どうだったのでしょうか?

それはさておき、実はこの曲、作詞・作曲は安井かずみ・加藤和彦夫妻、編曲は清水信之という、上記「野外コンサート」と同じ作家陣によるものですが、この曲はまあまあ“名作”の部類に入るのではないか思います。

やはりこの時期の清水氏の編曲にシンセサイザーは欠かせません。シンセサイザー・ソロでのProphet-5によるブラス系音や、「会えばいつか〜」で出てくるProphet-5にSBF325(Roland社のアナログエフェクター。ステレオフランジャー/コーラス)を通したような音色は美味。サビでのハンドクラップ音(時代的にRolandのTR-808かしら? 現在ではヒップホップ定番のリズムマシン)もなかなか効いていますし、フェードアウト前の転調もなかなか良い感じです。

8.彼

8曲目の「彼」は伊藤つかさ本人による作詞・作曲とのこと。編曲は清水信之。何処までご本人がお創りになられているのかは分かりませんが、この手のアイドルソングといった意味では、決して悪くはないと思います。詞の「ジミーのポスター」といったあたりに時代を感じます。それにしてもジェームズ・ディーンかあ・・・まだ“マイケル・j・フォックス”ですらないのです。

編曲は“アイドルテクノ歌謡”のお手本というか、この手の曲調の“アイドルテクノ歌謡”における一つの雛形となりうる安定感。Prophet-5の音色(フレーズ&コード含む)の使い方はいつもながらお見事ですが、“アイドル系さわやかピアノ”とでも言った様なリバーブが深めにかかったその音色もいい感じです。

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9.春風にのせて

9曲目の「春風にのせて」は、作詞・作曲が大貫妙子、編曲が大村憲司となります。編曲については「名選手、名監督とは限らず」と言ったところでしょうか?大村憲司氏が名ギタリストであることは今更改めて言うまでもありませんが、アレンジについてはちょっとどうなのかな?といった感じです。参加ミュージシャンまではクレジットされておりませんので、どなたによるものかまでは分かりませんが、キーボードのボイシングが気になります。ここでは音符を使って説明する様な“専門的な音楽の分析”は出来るだけ避けたいと思っておりますので、敢えてこれ以上は触れませんが、サウンド的には“特筆すべきことはない”といった感じでしょうか。

10.風になって

10曲目の「風になって」は、「これぞ80年代前半の高橋幸宏!」といったサウンド。作詞の高橋信之氏は、同姓同名でもない限り高橋幸宏氏のお兄様かと思われます。作・編曲は幸宏氏によるもの。これも思いっきり“テクノアイドル歌謡”ではあるにはあるのですが、どちらかと言えば“80年代前半のユキヒロ節(あえての片仮名表記・・・分かる人には分かる)”といった方が正確かと思います。ある意味、結構YMO中期系テクノです。個人的には、YMOの1st『イエローマジックオーケストラ』(日本版)の10曲目「アクロバット」と5thアルバム『テクノデリック』の1曲目「ジャム」が随所で思い起こされました。

11.ともだちへ

11曲目の「ともだちへ」は作詞・作曲が矢野顕子、編曲が後藤次利。曲的には“矢野顕子節”全開となっており、個人的には良い曲だと思います。

が、しかし、編曲が・・・特にポリフォニックシンセサイザーの大胆さと言うか、率直に言えば“大雑把さ”は気になります。この辺りはヘッドアレンジ(主に口頭でのアレンジ)の“善し悪し”が出てしまう部分なのかもしれません。イントロについては先ほども触れましたが・・・う〜ん。

全体的ないしは部分も含めて、やたらフェイザーやフランジャーといったモジュレーション系のエフェクターを強めにかけて“それっぽく”しているのもかえってちょっと・・・

ギタリストやベーシストの場合、キーボードパートに関してはどうしても参加ミュージシャンに依存する部分が大きいといったこともあるので・・・だからかどうかは知りませんが、80年代後半を席巻した後藤氏による一連のアイドル歌謡には、もう少し繊細なキーボード系のアレンジも少なくなかったように思います。いずれにしろ、1980年に沢田研二の「TOKIO」で第22回日本レコード大賞編曲賞を受賞しているとは言え、後藤氏がアイドル歌謡の作・編曲家として確立、ないしは安定するのは80年代後半からではないかと思われます。

そもそも、この頃(80年代前半)は“打ち込み”に精通しているミュージシャン自体がまだ限られていた筈ですので、そうしたことも明らかに関係していたものと思われます。

ついつい「教授(坂本龍一氏)が編曲していたらどんな感じに仕上がっていたのだろう?」などと思ってしまいます。要するに、フレーズ、ミキシング云々よりも「もう少し音(楽音)の処理が繊細だったら良かったのに」といった感じでしょうか?

アイドルテクノ歌謡における”名作”の条件とは?

今回は1曲1曲を取り上げる形でのレビューとなりました。まあ、それだけ“濃い”作品でもあったというわけです。ちなみに、“濃い”などと表現すると、“聴きどころの多い作品”と解釈されるのが一般的かもしれませんが、この場合、必ずしもそういった意味とも限りません。私がここで言うところの“濃い・薄い”は“良い・悪い”といったニュアンスのそれとは“ちと”違います。

まさに字の如く“濃い”のです。一つ一つの素材が濃厚極まるミックスジュースを飲まされているようなアルバムです。かと言って、決して“マズい”わけではありません。

好きな人にとっては大好きな、嫌いな人にとっては・・・すなわち“好き・嫌い”がハッキリする、いわばドクターペッパーのようなアルバムと言えるのかもしれません。

そうした傾向をあえて反映させたのかどうかはさておき、褒めているのか?貶しているのか?がよく分からないレビューとなっておりますが、それこそがまさに本アルバム、伊藤つかさ『さよならこんにちは』だったりするようにも思われるのです。

ただ、“アイドルテクノ歌謡”という意味ではやはり“名作”だと思います。その理由については既に冒頭で述べてはおりますが、曲によってそうした要素の強い弱いこそあっても、中期〜後期のYMOに代表されるような“80年代テクノ”を“伊藤つかさ”(=アイドル)という一つの世界において見事に結びつけているという点にあるのではないかと思います。

どうやらサブスクには見当たらない(2023年6月時点)ようなので、少々試聴のハードルは高いかもしれませんが、“囁き系アイドルボイス”が心地よい方、中期〜後期のYMOが好きな方、忌野清志郎・坂本龍一の「いけないルージュマジック」や一風堂などがお好きな方、「アナログシンセサイザーを使ってアイドル歌謡を創りたい!」とお考えの皆さんにはオススメのアルバムとなっておりますので、試しに一度聴いてみるのも一興かと思います。

執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy

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