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【クリエイター対談】アクセサリー作家<Juvelia(ジュベリア)>×舞台女優<五條なつき>/前編

『創る』ことに関わるお仕事をされている方の考え方・姿勢・創作の方法を知りたい!

今回は舞台女優&美容研究家として幅広く活躍する五條なつきさんが、オンラインショップをメインにしながら三越銀座や有楽町マルイなどでPOPUPを開催するなど精力的に作品を創り続けているアクセサリー作家Juvelia(ジュベリア)さんと「好きなもの×創作」について語り合います。

キラキラの可愛いアクセサリーはどうやって生み出されるの?

アクセサリー作りと舞台づくりの共通点とは?

好きなことを仕事にして続けていくためのヒントも満載です。

今回は<前編>をお届けします。

創作を始めたきっかけ

五條:ジュベリアさんは何がきっかけでリングなどのアクセサリーを作るようになったんですか?

ジュベリアの人気アイテムのひとつ・リング

ジュべリア:幼少期から作ることが好きで……元々ネイリストなんですけど、ちょうど独立するときぐらいにインスタグラムが出たんです。ネイルチップやネイルの写真をあげてたら海外も含めて離れたところに住んでる人からコメントいただいたりして。これまでだったら近所の人しかお客さんにならかったけど、インターネットでそうじゃない可能性が生まれてきたんだなっていうのはなんとなく感じ出して……この先妊娠したりしたら、ネイリストとしては働けなくなるだろうなとも思っていて

五條:妊娠するとこれまでみたいに自分のペースでは動けなくなるって言いますもんね

ジュベリア:それで、まだアクセサリーを作り出す前だったんですけど、結婚式の時にゲストをイメージしたイヤリングをスワロフスキーで作って招待状を挟むっていうのしたいなと思ったんです。昔からずっと思っていた「作る」っていうことと、この先女性としてライフステージが変わった時への対応と、インターネットで好きなものが近い人と出会えるようになったっていうのがあって、そういうものが組み合わさったタイミングだったっていうのがありますね。ネイルは1ヶ月で外すけど形に残るものを作りたいっていう思いもありましたし

五條:ネイルもキラキラ可愛いものがお好きでされてたんですか?

ジュベリア:そうです、そうです。ただネイルサロンは自分でお店を持ってやってたんですけど、結婚前は夜中とか早朝でもやってたんですよ。自由な時間でお客さんを受けてたりとかもしたんです。仕事が好きなので、結婚して隣の市に引っ越したときに、家でもできる仕事がしたい、出産の直前でもできる仕事がしたいっていうのが強くて。ネイリストだと直接手が触れないとできないので……これが2014年ぐらいで、アクセサリーを作ってサロンの半分に置いてたり、展示をしてたりしたんですけど、2020年にコロナがきたタイミングでアクセサリーに全振りしていった感じです

たくさんのリングたち

五條:じゃあアクセサリーに全振りしたのは比較的最近なんですね。ちなみにアクセサリーを作る前……ネイリストになったきっかけも、作ることと可愛いものが好きという気持ちが合わさって目指されていたんでしょうか?

ジュベリア:そうですね。元々メイクさんもやりたかったりとかあったんですけど、絵を描くとかそういう系でいくとネイリストの方が近いかなと。当時は浜崎あゆみさんがネイルをされてて、それを近くで見たい!という気持ちがあって。親には「爪に絵を描いて食べていけるわけがない」ってずっと反対されてたんですけど、最終的には美容学校に行って免許を取ればいいって許可をもらいました

五條:クリエイター系の職業は、親世代の理解が得にくいですよね

ジュベリア:でも美容師は独立するにしても初期投資が高すぎると思ったんですよ。ネイリストなら机ひとつで、仮に結婚する相手に転勤があってもやれるし。ネイルをやりたいっていう気持ちだけじゃなくて、後々、SNSで写真をアップするときもネイルの写真ならハードルが低いとか、材料が腐りづらいとか……若い女の子がやる職業としてはリスクが少ないんじゃないかと親に説明しました。

五條:すごい、本気が伝わるように計画的にご両親を説得されたんですね。でも確かに、インスタグラムとネイルって相性がいいですよね。私も仕事柄、コスメレビューの投稿をしてるんですけど、ネイルの写真だとシンプルなものでも反応がいいので、ネイリストさんは時代にも合っていたのかも

ジュベリア:でもやっぱり、父からすると訳わからないらしくて。「なんで爪塗るの?」みたいな(笑)

五條:そうですよね……親世代からすると、そもそもネイリストっていう職業自体が謎の職業ですよね。今だって子供が「Youtuberになりたい!」って言ったら戸惑う親御さんも結構いらっしゃるでしょうし。私も「演劇やりたい」って言った時に反対されたんですけど、今ならわかります。何かを作るとか表現する仕事って、ほとんどの親御さんにとっては未知の世界すぎるんですよね

ジュベリア:もちろん親世代からすると、よくわからない仕事に子供を委ねるっていう怖さもあると思うんですけど

インスピレーションを受けたもの

五條:ジュベリアさんのキラキラとか、可愛い世界は、どんなインスピレーションから生まれたんですか? 何か影響を受けたものとかあります?

ジュベリア:そうですね……やっぱり自我の目覚めは『セーラームーン』のオープニングだったんですよ、たぶん。セーラームーンがすごい発明的だったなって、大人になってもすごく思うことが多くて。その後、いろんなものの最盛期と思春期が重なってた時期が多くて……あんまり言うと老害っぽいかなとも思うんですけど(笑)セーラームーンの卒業と、漫画雑誌の『りぼん』で1番読者数が多かった時期が重なっていって、その後も中学2年生ぐらいの時に安室ちゃんとか浜崎あゆみさんとか「わぁ可愛い!」って思うような、これまでに見たことないような方が出てきたり、雑誌の『セブンティーン』も鈴木えみちゃんとか田中美保ちゃんとかが出てる頃で。1番感受性が豊かだったときに「え〜!」と思うようなものに出会えてるんですよね

五條:『セーラームーン』の影響は私もものすごく受けてますね。1番最初に演じることが楽しいなって思ったのって、子供の頃に「セーラームーンごっこ」をしたのが始まりだったと思うんです。当時、セーラームーンのコスチューム風の洋服があったんですけど、それを買ってもらって、着ているのが楽しかったりもして。たぶん、子供時代に『セーラームーン』を観た人はかなり影響を受けてますよね。

ジュベリア:ホント、『セーラームーン』に関してはすごいですよね。

五條:『セーラームーン』って女の子が自分で戦うじゃないですか。それも新しかったなって

ジュベリア:90年代前半の作品なのに異性間でもない恋愛とかも誰も不思議に思わずなじんでるし、男装の麗人みたいな方もいらっしゃったり。今で言うLGBTじゃないですけど、いろいろ盛り込まれてましたよね。アイドルに担当カラーがあるみたいなのも、セーラームーンが始まりだったんじゃないかとも思いますし。私はプリンセスにはハマらなかったんですけど、『セーラームーン』にハマったのは女の子が守られる立場じゃなくて戦う立場だったのもあるかなって

五條:ちょうど女の人が外に出ていくっていう時代とも重なったのかもしれませんよね。「守られるだけじゃなくて、自分で動いて、自分で何かを掴んでいく」っていうのは、セーラームーンが私たちに与えてくれた大きな考え方なのかもしれません

ジュベリア:普通の女の子が……っていうとアッコちゃんとかもいるんですけど、セーラームーンはキャラクターごとに違いがありますよね。知的な子がいたり、活動的な子がいたり

五條:私はセーラームーンタイプが好き、私はセーラージュピターが好きとか、自分に響く子を選べたんですよね

ジュベリア:セーラームーン世代は、なんらかの影響は受けてますよね

五條:そうですよね。今の子はプリキュアとかなんでしょうけど……

ジュベリア:おもちゃとかもすごかったですし

五條:今でも大人向けにコスメとか出てますもんね!

ジュベリア:あれだけ大人の財布を狙ってきてるコンテンツって、我々より上の世代はあんまりないんじゃないですかね。下の世代ならポケモンとかマリオとかいろいろあるけど、女の子向けでってなると……コスメからハイブランドまでスライドさせても商品化できるコンテンツって、セーラームーン以外にはあまりない気がするんですよ

五條:セーラームーン世代にとって、やっぱり『セーラームーン』はある種のアイデンティティですよね

ジュベリア:振り返ってみてもよくできてますよね。20年前から扉絵でセーラームーンたちがシャネルやディオール着てたりもするし、そういうものをサラッと普通に見てたってすごいなと

五條:今見ると、セーラームーンって全体的にすごくおしゃれでしたよね

ジュベリア:漫画で言うと安野モヨコさんとか矢沢あいさんとかも好きなんですけど、私が幼少期の頃の漫画家さんは漫画一筋でオシャレにはあまり興味なさそうなイメージだったけどめちゃくちゃオシャレな世界を描くっていう人たちが出てきた世代でもあるから、そういうものを見ていたのも結構強いんじゃないかと思いますね

五條:そうやって小さい頃に触れていたものって、どうしても創作するときに出てきちゃう……みたいなことってありますか?

ジュベリア:それはホントに、どういう因果なんだろうって考えることもありますね。セーラームーンの出現とともに人生を歩んでると言うか、ちょっとズレていたらあんまり興味ない世代だったと思うので、そこまでハマっていなかっただろうなって

創作と生活

五條:アクセサリーを作るときって、どうやって形にしてるんですか?

ジュベリア:それ、すごく難しくて……寝てるときに考えてて、起きた瞬間に「わかった!」ってなったり、違う作業してる時にヴィジュアルでふと思いついたり。だから石の並べ方なんかもあんまり悩むことがなくて

石を並べてあるアクセサリーボックスも人気のアイテム。

五條:ご自身の中に蓄積されているものが「創るぞ!」ってなった時にうわぁ〜っと出てくるんですかね

ジュベリア:そうですね。私の場合「作りたい!」という少女的な部分と、ビジネス的な、合理的な部分が半々あるから、半分は不満というか「こうだったらいいのに!」というところもあると思います。「これだったらネコポスで送れるのに」とか「これだったら傷つけずに運べる」とか……理想のものだけで形にすることっていうのはあんまりなくて。ずっと考えてはいるんですよ。ずっとベースで考えてて、何かの瞬間で噛み合って形になってる気がします

五條:デザイン画を描いたりとかは?

ジュベリア:デザイン画は描かないんですよ。発送したり作業したりしてるときに思いついて……それだけを考える時間っていうのがほとんど取れないので

五條:そうですよね……ジュベリアさん、ずっとイベントやPOPUPで走り続けていらっしゃるから。私思うんですけど、創る仕事って普通のお仕事と違って「じゃあ今日17時までね」ってことが難しいような気がしてて。1度創るモードに入っちゃうと、もう今やらなきゃ!って。最近だと、ワークライフバランスとか、業務時間外の仕事はしませんってことがよく言われてますけど、演劇なんかだと、台本を渡されたらセリフは次のお稽古までに覚えていかなきゃいけなくて……「プライベートの時間なのでセリフ覚えはしてきませんでした」っていうのはNGなんですよね。よほどの天才じゃない限りはお稽古の時間だけでなく、そのほかの時間もずっと台本を読み込んだり、セリフを覚えたり、役について考えたり。それはジュベリアさんで言うと、制作以外の時間もずーっと考えてるからこそ、いざ作る時になったら作れるっていうのにも近いのかなと思ってるんですけど

ジュベリア:確かに時間を区切っての仕事とちょっとそこは違うというか……同じ「仕事」っていう言葉の中にとらえられるからわかりにくくなっちゃうけれども、違う感覚ですよね。言葉通りスケジュール的に休みがないのはそうなんだけど、たとえ暇だったとしても休んでる気はしないというか、切り離せない感じはありますね

五條:なんか映画観たりテレビ観てたりしても考えちゃいますよね。「わーこのデザイン使えそう!」とか

ジュベリア:うんうん。やっぱり仕事の概念が違うかな。考えるのがしんどいとかプライベートを分けたいって人は創る仕事は向いてないだろうし。たぶん目指すべきビジョンがある人はやるべきことはいくらでも出てくると思うんですよね。これだけやればOKってタスク的にこなしていくのはサラリーマンタイプ。「これやったらお客さん喜ぶかも」「あれやったらいいかも」ってどんどんやっていきたくなる人はクリエイタータイプなのかもしれませんね。どちらがどうとかではなく向き不向きや仕事へのスタンスやワークライフバランスの話というか。

五條:私も「本番直前だけど、このシーンこうしたらもっと面白くなる!」とか「セリフ追加になって大変だけど、ここ追加した方が絶対いいよな……」ってなるタイプです。ジュベリアさんもお客様のためにいろいろとイベント企画されてますし、やっぱりクリエイタータイプですよね。

ジュベリア:演劇の世界だと、きっとスタッフさんとかマネージャーさんにもそれが求められますよね

五條:そうですね。自分で直接創る人じゃなくても「定時なんで帰ります」っていう人は難しいと思います。クリエイターのビジョンを理解して「面白いね、やりましょう!」ってなる人じゃないと、創る仕事に関わるのは難しいのかなって

ジュベリア:確かに確かに

五條:で、反対のこと言うみたいなんですけど……決められた時間の中で、合格ラインのクオリティを出せるのもプロの仕事だなと思ってて

ジュベリア:うんうん

五條:「時間かければすごいものできます」って言うのは趣味でもハイレベルな方がいらっしゃっるわけで、反対に「この時間内にこれだけ創れます!」っていうのがプロなのかなと。だからきっと、その辺りのバランスが取れる方がクリエイター向きなのかなと個人的には感じたりしてます

ジュベリア:ですよね


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【クリエイター対談】アクセサリー作家<Juvelia(ジュベリア)>×舞台女優<五條なつき>/中編

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参考リンク:Juvelia
撮影:Juvelia/Rrose Sélavy
執筆:編集部
(c)Rrose Sélavy

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