ルーシーの衣装 特集:ルーシー・フラワーズ2022

【衣装解説】『ルーシー・フラワーズ』のワードローブ <第3回 アリスママ>①


楽劇座『ルーシー・フラワーズ』シリーズにおいて、見どころの一つである衣装

ここでは一人一人に注目して、衣装の魅力を解説していこうと思います。

第3回となる今回は、このたび新しく登場するキャラクター、アリスママ(演:大向しんじ)です!

華麗に転身!デリバリーからバー経営へ

初めて来た人がこの見出しだけ見て事業家サクセスストーリー記事だと勘違いしてしまったらどうしよう……。

それはさておき。何を隠そう今回僕が演じるアリスママはシリーズに新しく登場する役名ですが、厳密には新キャラクターではありません。

もともとの脚本では、フードデリバリー『グーパーイーツ』の配達員ケンちゃん(演:大向しんじ)というこれまでにも登場したことのあるキャラクターでした

その後、脚本がオンライン公演用にアレンジされる過程でケンちゃんの周辺にも変更が加わり……。

新しい世界線ではなんと、お金を貯めて長年の夢だったバーを開業し「アリス」という名でママとして君臨しているのです!

わー!おめでとー!!

バーのママとして「アリス」と名乗るあたりがケンちゃ……もといアリスママらしいセンスですね。少女的で無邪気な、可愛い人です。

衣装に話を戻すと、つまりアリスママはキャラクター(の自我)としては既存のキャラでも「衣装は全くの新規」となります

舞台衣装を決める時はキャスト同士のバランスにも気を配ります。(わかりやすい例だと色など)

なので『ルーシー・フラワーズ』のようなシリーズ物の場合、新キャラは特にバランスを意識する必要があるわけです。

お稽古と平行して打合せ・制作を進め、演出・芸術監督の関口純さんから「最初に想定していたのとはだいぶ違うけど、これはこれで……」と『誉あるOK』を頂き、ついに決定したアリスママの衣装。

公演に先駆けて、一足お先にこちらでお披露目です。

咲き誇るのは大輪のバラ

こちらがアリスママの衣装です。八の字眉幸子さんがヴィクトリアン風なら、アリスママはバロック~ロココ風……と言えるかもしれませんね。

特筆すべきは花!というかバラ!

胸だけではなく頭からも咲いています。

ちなみにこのバラ大きいものは10cm以上あり、ひとつでもかなりの存在感を発揮してくれます。それがこれだけの数&色

言い忘れていましたが、アリスママの髪の色はライトピンクです

純さんに衣装のチェックをして頂いた際に「ルーさんと同じピンクの髪だから、並んだ時のバランス大丈夫でしょうか?」と尋ねたところ、「今の君、髪がピンクだからとかそういう次元じゃないよ」と言われたのをよく覚えています。

赤、黄色、オレンジ、青……他の人物とのバランスとかいう以前に、おまえ単体での色バランスはどないなっとんねんと心の中の関西人が叫び出しそう(筆者は青森出身)。

知らない人の前に飛び出して「こんにちは!わたしはルービックキューブの擬人化!」と言ったら1人くらい信じてくれそうなほどにカラフル。

花の色は 移りにけりな いたづらに…… と小野小町も歌っていますが、イタズラというよりもはや悪ふざけでは。

※※※注:この和歌で言う"いたづら"はむなしさを意味する「徒」で、悪ふざけなどの「悪戯」とは別の意味です。※※※

咲き乱れるのはピュアハート

……なんて言いましたが、もちろん断じて悪ふざけでデザインしたわけではありません。

デザインのヒントは打合せの時に純さんが仰った「もし仮に、並行世界のシンディが夢を叶えたらどんな服を毎日着る?」という言葉でした。

夢を叶えた理想の姿。それはきっと、バラ色の気持ちが胸いっぱいに広がるような……そんなイメージを膨らませたのがこの衣装です。

そう思って見るとこの色とりどりのバラたちも、まるでアリスママの溢れ出すハートが抑えきれずに、胸や頭がはちきれちゃったみたいでしょう?

ちなみに沢山の色が使われていますが、実はこれでも色やサイズを合わせながら入念に計算して配置しています! 中には理想の色とサイズが無いから白い花を染めて作られた物もあるんですよ~。

そう言えば童話の方のアリスにも、ハートの女王の白いバラを塗り替えるシーンがありました。あの女王陛下も、そんなに好きな色なら自分で作ればよかったのに!

胸に秘めたヒミツ♡

そんな胸いっぱいのバラ。実は何気に体積も質量もあり、音楽シーンではちょっと大変でした。

なんと胸が邪魔でこれまでと同じように踊れないのです……! 本番ではなんとか工夫して踊りましたが、まさか自分が人生において胸が大きい悩みを持つことになろうとは。

ちなみにこの服(服って言うか花)、ボリュームに比較して土台は意外と薄くてフラットなんです。
支えるためのインナーだけ縫い付けられていますが、通気性重視で厚みのあるパットや芯地は使われていません。

心の花が満開になるだけで、こんなにもグラマラス。

劇中でもアリスママは見ず知らずの迷子に親身になって助けてあげる限りなき善意の人です。

純粋な心と愛情を惜しみなく解放する事が、アリスママ流・美ボディの秘訣なんでしょうね。

終わりに差し掛かってしまいましたが、まだバラしか語れていませんね……。アリスママの衣装、注目ポイントは他にもあります。

次回・後編では他のパーツにも注目して全体を紹介していきますね。次回もどうぞご期待ください!

執筆:大向しんじ

(c)Rrose Sélavy

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