Music Stage 文化村スタジオ 連載

Prophet-5(Rev3.3) 〜文化村スタジオの仲間たち⑦〜

prophet-5(Rev3.3) MIDI付き。

私にとっては2台目となるこのProphet-5は、1996年に原宿のヴィンテージ・シンセサイザーSHOPで購入しもの。

ぼちぼちと音楽の仕事なんぞをする様になっていたこの頃、まあ、ちょうどMac +Visionの打ち込みにも慣れてきた時期でもあったのだが、「やはりMIDI付きは何かと便利だなあ」などと思い始め、2台目のMIDI付きProphet-5(Rev3.3)の購入に踏み切ったという次第である。

1台目の時は”音”に拘って購入したのだが、2台目のコチラは”見た目”の美しさ(美品具合)で選択した様なところがある。

実際、”音”に関して言えば、1台目のRev3.2の方が”太い音”をしている様に感じられる。一方、2台目のRev3.3は比較的”音が薄い”というか”音が軽い”印象。

購入後、初めのうちはちょっと戸惑った。それぐらい”音の質感”が違ったのだ。

一時期、「MIDI無しの方が音が太い」という説がまことしやかに流布されていたが、真偽の程は分からない。

こんなことを言うと、「同じRev3なんだから、同じチップを使っている以上、音が違うとは考え難い」と言う方もいるにはいるが、個体差自体は明らかに存在する。ピッチの狂うタイミングやそのパターンもそれぞれだったり・・・

そのピッチの話で言えば、ウチの2台を比べてみた場合、Rev3.3は電源投入後すぐに狂いだし、瞬く間に音痴になってしまうが、1回チューニングボタンを押してしまえば、その後は何時間も安定している。それに対しRev3.2の方は、電源投入後、暫く放っておいても一向に狂わない。時間の経過によってだんだんと狂ってくる。それもいきなり音痴になる様なことはなく、コーラスをだんだん深目にかけて行く様なイメージ。これは”毎回そんな感じ”で再現可能な安定?の症状。まあ、これに関してはRev3.2とRev3.3の違いではなく、どうやら個体差の問題の様であるが。

Rev3.2の”音の太さ”はコーラス効果的な”太さ”にも感じられるので、オシレーターの個体差によるある種の”特性”の様なものが音に関係しているという線はあるのかも知れない・・・あくまでも素人考えだが。正直、機械の部品レベルの話は分からない。

ちなみに、オシレーターの調整を始め各種メンテナンスは、Prophet-5の第一人者 symplexの林さんにお願いしているので、単に調整不足でオシレーター間のピッチがずれているから”音が太い”ということはあり得ない。それに、メンテナンス前も後も”音の太さ”に関しては変わらない。昔も今も変わらず、何十年も”その太い音”のまま。

さて、このRev3.3、勢い余って購入してはみたものの「音が薄く(軽く)感じる(Rev3.2と比べて)のだがどうしたものか?」などと不安になっていた矢先、RolandのステレオフランジャーSBF-325を導入して繋いでみたところ、なんと、これが良い感じ! 少年時代にレコードで聴いていた”私がよく知っているProphet-5の音”になったというお話。

2019年・・・まだ世の中が、まさかこんなことになろうとは夢にも思わなかったあの頃・・・六本木ヒルズで開催された”細野晴臣デビュー50周年記念展 細野観光1969-2019”を観に行った際、そこに展示してあった細野氏のProphet-5のシリアルナンバーが、今回お話している私のRev3.3とかなり近いナンバー(私が所有しているProphet-5の方が少しだけ前の番号)だったことをここに記しておこう。

SBF-325を通した時に感じた<少年時代にレコードで聴いていた”私がよく知っているProphet-5の音”>は「そういうことだったのか!」と妙に納得したりして。ただ、個体差もあるだろうから、シリアル番号が近いからといって同じ様な音が出るとは限らないし、そもそも細野氏がレコーディングの際に”その個体”を使っていたのかどうかすら定かではない。それに、”私がよく知っていたその音”は、厳密に言えば、細野氏のそれと言うより、後期YMOのそれだしね。ライブなんかに関して言えば、レンタルしたProphet-5の可能性すらあるし。次いでにもっと言ってしまえば、確か、このRev3.3は84年製だった様な・・・ということは、既にymoは散開(事実上の解散)してるし(笑) 

まあ、だからイメージ・・・”少年時代の夢”の続き・・・ノスタルジーですな。

とは言え、もしかすると”83年製”の記憶違いかも知れないという可能性も・・・無きにしも非ず。

実は、このヴィンテージ Prophet-5、蓋を開けて中身をみると、そこに製造年と組み立てた人?らしき人物のサインがしてあったりするのだ。これも全ての個体でそうなのかは分からないが。で、私が所有するRev3.2はどうやら81年製らしい。人物の名前は失念したが・・・ジェームスとかそんな名前だった様な、違った様な・・・。一方、Rev3.3の方は84年製だったと記憶しているのだが・・・こちらに関しては先ほども書いた様にちょっと記憶が曖昧。もしかすると83年製だったかも知れない。自分的にはかなりの確率で84年製なんだけど・・・これもイメージの為せる技かも知れない。

わざわざ開けて確認する気にもならないので、機会が来るまでは、とりあえずイメージとともに”このまま”にしておくとしよう。

ちなみに、私が所有する2台のProphet-5のシリアルナンバーは?といえば、Rev3.2が3000番台。Rev3.3が6000番台。

そうそう、この2台には一箇所(目に見えている部分に関しての話だが)だけ仕様の違いがあった。Rev3.2は電源コードが本体に埋め込まれているタイプだが、Rev3.3の方は電源コードが取り外し出来るタイプ。まあ、それで音が変わるのかどうかは知らないが・・・一応報告。

今回は”Rev3.3についてのお話”の筈なんだけど、どうしてもRev3.2との比較になってしまう。最初に買ったシンセサイザーがProphet-5(Rev3.2)ということもあり、どうしてもそれが基準になってしまうのだ。まあ、これは致し方ないことなのだが・・・

そうそう、思い出した! このRev3.3、プラス面としては、昨今のデジタルシンセの音との親和性みたいなものはRev3.2よりも高い様な気がします。”上手く溶け合う感じ”とでも申しましょうか。だから『ルーシー・フラワーズ〜』みたいな、基本、デジタルシンセ音のみで作られた様なバックトラックに被せて弾く上で、地味に威力”アナログの暖かさ”を発揮してくれていた様に思います。良い意味で、”現代の音”に迎合出来るタイプ。

ちなみに、楽劇座の『ルーシー・フラワーズ〜』公演で弾きまくっていたProphet-5がこのRev3.3です。
シリーズの終わりの方(今のところ)なんて、毎回、変な音作って、毎回、気分次第で異なるフレーズ弾いたりなんかして・・・

『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』の演奏ブース。メインシンセはProphet-5(Rev3.3)。写真では見えないが、その下にVP-330(Vocoder Plus)。奥のエフェクターラックにはRolandのSBF-325、SDE-2000、YAMAHAのE-1005 etc.

さて、次にコイツ(Prophet-5)とステージに立てる日はいつなんだろう・・・

執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy

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