Music 文化村スタジオ 連載

”音楽の創り方” を ”書く” ということの ”難しさ” について。

十代の頃に勉強していた”音楽理論書(オーケストラのスコア含む)”と”クラシック音楽のCD”の一部。

今ですねえ、”本” や ”コラム” などを書いていて ”一番難しい” と言うか、 ”困ってしまう” のが、実は ”音楽の創り方” なんですよねえ。

まあ、作曲自体は十代の頃から音大教授のもとで ”まあまあ本格的” に勉強していた方でしたし、仕事でも ”いろんな音楽” を創っても来た訳です。で、近年は、ウチの公演(『マカロンちゃんの憂鬱season2』以降の作品)を観たことがある方ならお分かり頂けると思うのですが、音楽自体は公演の度に作・編曲していた訳ですから、”書けそうなもの” ではありますが、”誰にでも役立つ、今すぐ出来る作曲術” みたいな話になると、何処から説明して良いのやら困ってしまうのです。ましてや、文字で伝えようとすると尚更。音を出しながら説明するのなら ”まあ、なんとか” 出来なくもないとは思うのですが、”文字で” となると想像以上に難しい。

と言うのも、”自分の創り方” は正直、”これから音楽を始めよう” という、いわゆる”初心者向け”とは言い難いのです。

私自身が ”どうやって創っているか?” ないしは ”そうして出来た楽曲” を分析・説明することは可能だと思うのですが、その場合、読者の方にも ”和声” や ”対位法” の予備知識が必要となってしまうのです。

こんな風に書くと、”上から目線” & ”偉そう” に聞こえるかも知れませんが、決して、そんなつもりで書いている訳ではございません。

だって、そもそも ”偉そうに” するメリットがないのですから! そんな態度を取ったところで、弊害こそあれ、良いことは一つもないのです。

まあ、それは兎も角・・・

例え、一見(一聴?)、ふざけた様な ”お遊びの音楽?” を創る場合であったとしても、私の場合は ”そうしたやり方で創っている” ということなのです。

ですから、シンセサイザーやDAWの ”シーケンサー機能” も、基本、”作曲のツール” としてではなく、作・編曲した音符を入力して ”シンセサイザーを演奏させる為のツール” として使っていることになります。

そうしたことから、私の場合、シーケンサー操作のコツは ”音楽創り” そのものに直結しない訳です。

ですので、私のやっている方法を説明しようとすると、『”対位法”を活用したベースラインの創り方』みたいな説明をすることになってしまうのです。もちろん、これとて、実際の現場では「対位法を使おう!」なんて意識してやっている訳ではなく、意識するしないに関わらず、子供の頃に身につけた知識を、もはや感覚的に使ってやっているだけのことで、いわゆる教科書的な ”対位法” から言えばあえて”不正解”なやり方をしたりすらします。その方が ”無機質な感じ” であったり、”不穏な空気” を演出する上で効果を発揮することもあるからです。なので、バッハのそれとは趣が相当違います(笑) ただし、裏を返せば ”バッハのそれとは違う” ということが分かる程度の知識は必要になるということです。

もちろん、現代ではそうした知識がなくてもある程度 ”立派な音楽” が創れるだけのテクノロジーが存在するのは言うまでもありません。しかも1万円程度から!

私自身は、むしろ、そうした “音楽の創り方” に興味を持っています。実際に譜面に書くか否かは別として、どうしても音楽を音符で考えてしまうことが幸か不幸か身についてしまっているので、それとは別のパラダイムで ” 今までとは違う世界を見てみたい” という興味です。

そこで最近は、今まで聴いて来なかった様な音楽を積極的に聴く様にしたり、音楽を ”頭の中で形にする” 前に、とりあえず マシン・ライブの如く”音を鳴らしてみる” といった様なことを色々と試している次第であります。

しかし、逆に「クラシック音楽なんて聴いたことねえし、聴く気にもならん!」と言う方には、あえてクラシック音楽を聴いてみることをお勧めしたいと思います。そしてそれが ”どうなっているのか?” に興味を持ったら是非、そうした類の理論書やらスコアを手に取って頂きたいと思います。

要するに、ちょっとした”異文化交流?”みたいなもんです。もしかしたら、新しい発見があるかも知れません。

少なくとも、私の場合は ”その様に” やって来ましたし、今も相変わらずやっております。

特に “演劇に関わる音楽” では、そうした自分の世界を広げる試み、そして、そうした新しい世界での ”発見” が、自分に何かをもたらしてくれる様に感じます。

「どっから聴いてよいか分からない!」と言う方は、お気軽にお尋ね頂ければ、”お気軽に?” お答えさせて頂きたいと思います。

執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy