RroseSélavyと楽劇座の実験

RroseSélavyでは、様々な作品が制作・上演されましたが、主として楽劇座の連続定期公演が行われました。

楽劇座とは?

楽劇座は、芸術監督(劇作・演出・音楽を担当)の関口純を中心に2010年に創立された劇団で、演者は芸能プロダクションに所属していた若手俳優の中からオーディションにより選ばれました。オープニングシリーズを経て最終的に採用に至ったのはわずか3名のみ。その後、一般公募したオーディションで加入した研究生の中から2名が正座員、準座員に選出されました。

創立以来、全ての公演に出演しているのは現在、美容ライター・コラムニストとしても活躍している看板女優・五條なつきのみ。

ギネス級? 楽劇座の定期公演について

創立当初は新宿文化センターを拠点としたホール公演を中心に行っていましたが、RroseSélavyオープン以降、約8年間にわたり毎月欠かさず新作を中心とする上演が続けられました。

言葉にすると簡単なことのように聞こえますが、毎月、関口により新作(上演時間にして1時間半〜2時間程度の作品)が執筆・演出・作曲され、劇団員たちはその膨大な台詞を暗記し、稽古・本番と演じることになります。稽古の合間には新曲のレコーディングも入りますので、台詞覚えに使える時間は2~3日、稽古期間は平均5日程度執筆初日から千秋楽(公演最終日)まで2週間強で全てを終えなければなりません。それが8年の間、毎月毎月続きました。

そのギネス級とも称される公演形態・作品制作については演劇系マスコミでも度々取り上げられました

もちろん、再演という形で過去の作品が上演されることもあるにはありましたが、その度に出演者はほぼ変わり、それに伴い台詞も書き直されるのが通常でした。

楽劇座の実験

ちなみに出演者は毎回主要メンバー3人の場合が多く、出演者が増えたところでほとんどの台詞は主要メンバーに集まります。

すなわち、一人当たりの台詞量が膨大なものになります。

しかも、一つの台詞がA4用紙1~2枚続くことは普通。

そんなわけで、役者の台詞暗記時間が短いのも特筆すべき点(しかも膨大な量)ではありますが、上演に関わる全ての過程が短期集中で行われていたという点こそ特筆するに値するものと思われます。

こうなると、もはや自分自身との戦いといったレベルは通りこし、演劇創造の実験といった趣さえあります。

脚本の執筆に使える時間も平均2日間程度でした。作曲は稽古の休憩中に五線紙に向かって鉛筆を走らせるといった具合で、時には食堂、時には道の真ん中でも行われました。さすがに編曲(音源作り)はコンピューターに向かわないと出来ませんのでスタジオに籠ることになりますが、これも多くて2日程度といったことが多く、この間に数曲完成させなければなりませんでした。役者が台詞を覚える時間をスタジオ作業に当てるといったことになります。

こうしたスケジュールで毎月の公演が制作されていました。ですので「気分が乗らないから脚本が書けない」なんてことは許されませんし、「体調が悪いのでセリフが覚えられません」なんていうことも断じて許されません
たった1日遅れるだけで、命取りともなりかねません。何故ならば、すでに次回の公演チケットは売り出されているのですから・・・。

否が応でも責任がついてまわります。

そもそも脚本の執筆を開始する段階で、すでに公演初日まで3週間を切っているような状態です。
こうなるとプレッシャー云々などと悠長なことは言ってられません

精神から技術へ

こうして今振り返ってみても、「よくもまあ8年間も続けて来れたものだなあ」と思わずにはおれません。

ですが、こうした過酷な制作環境の中、8年間休むこともなく続けてこられた事実こそ、単に”精神力” などの問題などではなく、これこそ”技術” の為せる技であり、劇作・演出、役者問わず、日々積み重ねられ獲得されたノウハウによるところが大きいと考えています。

楽劇座の試みは、そのポップな作風とは裏腹に “技術” の追求にあったと言っても過言ではありません。

Spiceインタビュー掲載
https://spice.eplus.jp/articles/44019

楽劇座ホームページ
http://www.gakugekiza.com/index.html